『遠く、近く 掛井五郎のこと』 文=佐伯誠 画=掛井五郎


「会っているとき、もうこんな人には会えないんだぞ、そんな胸苦しさをおぼえたことがあるだろうか? ずっと彫刻家というものにあこがれがあった。物質と精神とのあいだに渡された綱をわたる人。その渾身の力業こそは、創造の王にふさわしいと思ったから。いきなり、あらわれたのが彫刻家の掛井五郎だった。内に火焔獣をかかえた人で、そばにいるとたえず熱気がたちこめているのを感じた。それが動きを止めたとは、とうてい信じられない。すべてがかき消されないうちに、おぼえていることの欠片をひろいあつめておこうと思った」佐伯誠

 2021年、稀有の彫刻家、掛井五郎さんが召天されました。享年91歳。初期のブロンズは重厚で力動にあふれたもので、若くして巨匠のメチエを手にした才能でしたが、それに満足することなく、フォルムは歪んだり膨らんだり縮んだりして、身をよじったり、奔放な変容をつづけました。素材も、ブロンズあり鉄ありガラスあり木あり……。とどまることを知らない創造力は、彫刻だけにとどまらず、ドローイング、版画、オブジェ、アトリエの棚にならぶ手遊びのマケット群など、ジャンルを超えて2万点を超える厖大な作品がのこされました。 
 あまりに変貌がめまぐるしいために、これまで論じられることの少なかった孤高の彫刻家の、知られざるチャーミングな素顔、謹厳さににじむユーモア、逸話のかずかず。その詩と真実をつたえる回想のかけらです。
 版画10点を挿画としたパピエ・コレ(紙のコラージュ)の趣きとなっています。

定価:本体2,200円+税
著者:佐伯 誠
ブックデザイン:エーブルソン友理
写真:三浦順光
校閲:藤吉優子
協力:一般財団法人掛井五郎財団
判型:B6 80ページ 並製(袋とじ)

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